自転車ラックの種類と特徴

駐輪場に自転車を効率よくかつ使いやすく収容するには、「自転車ラック」の採用が効果的です。
自転車ラックには、2段式やスライド式、平置き式など様々な種類があり、それぞれ対応自転車や収容能力は異なります。どの自転車ラックを選び(または組み合わせ)、どのような配置(設計)にするかで、駐輪場の収容台数や使いやすさは大きく変わります。
この記事では、自転車ラック選びに失敗しないために、種類ごとに特徴や使い方をご紹介します。

自転車ラックの種類と特徴。自転車ラックの種類毎に特徴や使い方を説明します。




自転車ラックとは?

駐輪場に設置された自転車ラック。自転車が整然ときれいに収容されている。

自転車ラックとは、自転車を効率よく収容し、駐輪場をきれいに整頓するための機器(ラック)のことです。
駐輪ラック、サイクルラック、駐輪機などと呼ばれることもあります。

駐輪場は、限られたスペース内にできるだけ多く自転車の収容が求められます。駐輪場の台数が不足すると「景観の悪化」「共用部への自転車放置」「自転車破損やマナーの悪化」など様々な問題を引き起こします。その課題を解決する手段のひとつが自転車ラックです。

自転車ラックを駐輪場に導入するメリットは?

駐輪場に自転車ラックを導入するメリットは主に3つ。

①収容能力の向上:縦空間を活用したり、隣り合う自転車のハンドル干渉を避けて収容することで、収容効率を上げます。

②使いやすさの向上
:使い勝手の良い製品の採用と適切な配置、設計により使いやすさが向上します。また、自転車の転倒防止にもなります。
③美観の向上:駐輪場が整頓されます。荒れた駐輪場は、利用者同士のトラブルや不正駐輪の原因になりかねないので、重要です。

自転車ラックを駐輪場に導入するデメリットは?

ラックの採用にはコスト(機器購入と設置の費用、場合によっては土木工事も必要)がかかります。
駐輪スペースが十分に確保できる場合、つまりゆとりを持って駐輪ができる場合は、白線引きや比較的安価な平置きラックの採用を推奨しています。



自転車ラックは、2段式と平面式の2タイプ。

自転車ラックは、「2段式」と「平面式」の2種類に分類できます。

2段式の自転車ラック

2段式の自転車ラックは、縦の高さを活かした収容能力の高い自転車ラック。
天井高2500mm以上(2段式下段スライドは、2600mm以上)が必要になります。スペースが限られていて、高さを活かせる場合は2段式タイプの採用が効果的です。

平面式の自転車ラック

高さがない場合(天井高2500mm未満)や、2段式でなくても十分に台数を確保できる場合は、平面式の自転車ラックがおすすめです。ラックが左右に可動するスライドラックや、高低差を活用して収容効率を上げる傾斜ラック、平置きラックなどがあります。

大型自転車対応の自転車ラック

普通自転車 大型自転車① 大型自転車②
自転車 普通自転車
電動アシスト自転車(後ろかご無)
カゴ付き自転車
2人乗り電動アシスト自転車
3人乗り自転車(電動無し)
3人乗り電動アシスト自転車
重量 ~25kg 25kg~30kg 30kg以上
対応ラック 全製品 垂直2段式ラック/2段式下段スライドラックラック/スライドラック/平置きラック(BC-40以外)/デザインラック
その他 弊社が提供する平面図、台数計算式は、
このタイプの自転車収容が前提
(長さ1800mm/高さ1150mm/幅570mm)。
3人乗り電動アシスト自転車に対応した製品であっても、
連続収容が想定される場合は、設置間隔を広げる、または台数を間引く必要があります。

近年、街中でよく見かけるようになった3人乗りの電動アシスト自転車。子育て世代を中心に年々利用が拡大しています。
その一方で、駐輪場は自転車の大型化に対応できず、「自転車の重さに耐えられずラックが破損」「自転車が駐輪場から溢れてしまっている」などの問題が発生しています。

そのため、駐輪場利用者の属性を考慮して自転車ラックを選択することが大切です。例えば、ファミリータイプの分譲マンションは大型自転車対応のラックを採用し、単身者の多いアパートは非対応のラックを採用するなど。

ビシクレットでは、大型自転車に対応したラックを多数ご用意しています。環境や必要台数に応じてお選びください。



2段式駐輪場の自転車ラック

垂直2段式ラック

女性でも軽々収容。使いやすさと収容効率を両立した自転車ラック。

垂直2段式自転車ラックの動きを示した3D画像

特徴

  • 上段は、レールを垂直に下ろし、地面のすぐ上に固定された状態で、自転車の前輪を持ち上げずに収容。
    自転車収容後は、バネの力でレールの持ち上げをアシストするため、女性でも力を必要としません。自転車を取り出した後は、上が自動的に上がるオートリターン機構。
  • 下段は、スライドラックを採用。3人乗り電動自転車などの大型自転車にも対応(40kgまで)。ビシクレットでは、複数のスライドラックを扱っているため、状況に合わせた様々な組み合わせが可能です。

このような
駐輪場に

  • 駐輪スペースが限られていて、かつファミリー層(3人乗り電動自転車)が多いマンション駐輪場
  • 年配の方や女性にも使いやすい自転車ラックを採用したい。
  • 2段式自転車ラックは重くて使いにくい、という方に。

垂直2段式ラック(上段)の使い方

①下段に収容されている自転車を左右にスライドさせ、上段を下ろすスペースを確保。
②上段レールを垂直に下ろし、地面のすぐ上で自動固定(カチッと音がじます)。

③自転車の前輪をレールの上に乗せ、自転車を押し込んで収容。
③上段レールを上に持ち上げます。

垂直2段式ラックの駐輪場寸法と平面図

垂直2段式ラックの駐輪場平面図。通路幅や設置間隔などの駐輪場寸法を記載。

設置間隔(上段):500mm以上
通路幅:下段自転車後端から1380mm以上
天井高:2500mm以上


また、製品毎に製品本体の寸法は異なり、設置角度によって通路幅などの各寸法も変わってきます。

各製品ページにて、設置角度別の駐輪場寸法一覧の確認と図面ダウンロードが可能ですので、駐輪場設計にお役立てください。その他、価格や対応自転車、台数計算式も記載しています。

ビシクレットで取り扱う垂直2段式ラック

垂直2段式ラックの課題解決事例

2段式下段スライドラック

最も収容効率が高い2段式の自転車ラック

2段式下段スライドラックの動きを示した3D画像

特徴

  • 最も収容効率の高い自転車ラック。
  • 上段は2段式ラック、下段にはスライドラックを採用(3人乗り電動自転車対応)。
  • 上段レールを手前(通路側)に引き出してからレールを下ろし、前輪を持ち上げて収容するため、垂直2段式と比べて通路幅と天井高の確保が必要になります。

このような
駐輪場に

  • 限られたスペースにできるだけ多くの自転車を収容したい。

2段式下段スライドラックの使い方

①下段に収容されている自転車を左右にスライドさせ、上段を下ろすスペースを確保。
②上段レールを手前に引き出した後に、レールを下げる。

③自転車の前輪をレールの上に持ち上げて、自転車を押し込んで収容。
※片手にハンドル、もう片方でサドルを持ち、サドルの手で自転車を押し込むのがポイントです。
④上段レールを上に持ち上げてから、レールを元の位置に押し戻します。

2段式下段スライドラックの駐輪場寸法と平面図

2段式下段スライドラックの駐輪場平面図。通路幅や設置間隔などの駐輪場寸法を記載。

設置間隔(上段):450mm以上
通路幅:下段自転車後端から1500mm以上
天井高:2600mm以上


また、ラックの設置角度によって通路幅などの各寸法も変わってきます。

製品ページにて、設置角度別の駐輪場寸法一覧の確認と図面ダウンロードが可能ですので、駐輪場設計にお役立てください。その他、価格や対応自転車、台数計算式も記載しています。

ビシクレットで取り扱う2段式下段スライドラック

2段式下段スライドラックの課題解決事例

2段式自転車ラック

スタンダードなタイプの2段式自転車ラック

2段式自転車ラックの動きを示した3D画像

特徴

  • 上段は、ガススプリングの力で昇降操作を補助。上段レールを手前(通路側)に引き出してレールを下ろし、前輪を持ち上げて収容。
  • 下段は、固定タイプ。隣り合うラックと高低差で自転車のハンドル干渉を避け、収容効率を上げます。

このような
駐輪場に

  • 大型自転車には非対応のため、普通自転車(単身世帯)の多い賃貸アパートなどの駐輪場に。
  • ファミリータイプのマンションに導入する場合は、大型自転車対応の平置きラックやスライドラックを別エリアに採用すると良いでしょう。

2段式自転車ラックの使い方

①上段レールを手前に引き出してからレールを下ろす。
②前輪をレールに持ち上げて乗せ、自転車を押し込んで収容。
③上段レールを上に持ち上げてから、レールを押し戻します。

2段式自転車ラックの駐輪場寸法と平面図

2段式自転車ラックの駐輪場平面図。通路幅や設置間隔などの駐輪場寸法を記載。

設置間隔(上段):450mm以上
通路幅:下段自転車後端から1700mm以上
天井高:2500mm以上


また、製品毎に製品本体の寸法は異なり、設置角度によって通路幅などの各寸法も変わってきます。

各製品ページにて、設置角度別の駐輪場寸法一覧の確認と図面ダウンロードが可能ですので、駐輪場設計にお役立てください。その他、価格や対応自転車、台数計算式も記載しています。

ビシクレットで取り扱う2段式自転車ラック



平面式駐輪場の自転車ラック

スライド式自転車ラック(前入れタイプ)

隣り合うラックに前後差をつけてハンドルの干渉を回避。前輪から収容するスライドラック。

スライド式自転車ラック(前入れタイプ)の動きを示した3D画像

特徴

  • ラックを自転車ごと左右にスライドさせることで、自転車の出し入れを簡単に。
  • 隣り合うラックに前後差をつけることで、ハンドルの干渉を回避し収容効率を上げています。
  • オプションのフットブレーキを採用することで、ラックの動きを固定して安定した収容が可能に。

このような
駐輪場に

  • 天井高を確保できない環境で、多くの自転車を収容したい。

スライド式自転車ラック(前入れタイプ)の使い方

①自転車を左右にスライドさせ、収容するスペースを確保。
②レールの上に前輪を乗せ、奥まで自転車を押し込みます。
※片手はハンドル、片手はサドルを持ち、サドルの方の手で自転車を押し込むのがポイントです。

スライド式自転車ラック(前入れタイプ)の駐輪場寸法と平面図

スライド式自転車ラック(前入れタイプ)の駐輪場平面図。通路幅や設置間隔などの駐輪場寸法を記載。

製品によって製品本体の寸法や通路幅は異なり、ラックの設置角度によって各寸法も変わってきます。

各製品ページにて、設置角度別の駐輪場寸法一覧の確認と図面ダウンロードが可能ですので、駐輪場設計にお役立てください。その他、価格や対応自転車、台数計算式も記載しています。

ビシクレットで取り扱うスライド式自転車ラック(前入れタイプ)

スライド式自転車ラックの課題解決事例

スライド式自転車ラック(前後入れタイプ)

自転車を前後反対で交互に収容することでハンドルの干渉を緩和。省スペースタイプのスライドラック。

スライド式自転車ラック(前後入れタイプ)の動きを示した3D画像

特徴

  • 自転車を前後反対で交互に収容することでハンドルの干渉を緩和。
  • ラックの前後差がないため、奥行を抑え、駐輪場を省スペース・コンパクトに

このような
駐輪場に

  • 奥行をできるだけ抑えて、スライドラックを導入したい。

スライド式自転車ラック(前後入れタイプ)の使い方

①自転車を左右にスライドさせ、収容するスペースを確保。
②前入れ:自転車の前輪を前にして収容。/後入れ:自転車の後輪を前にして収容。
③奥まで自転車を押し込みます。

スライド式自転車ラック(前後入れタイプ)の駐輪場寸法と平面図

スライド式自転車ラック(前後入れタイプ)の駐輪場平面図。通路幅や設置間隔などの駐輪場寸法を記載。

製品によって製品本体の寸法や通路幅は異なり、ラックの設置角度によって各寸法も変わってきます。

各製品ページにて、設置角度別の駐輪場寸法一覧の確認と図面ダウンロードが可能ですので、駐輪場設計にお役立てください。その他、価格や対応自転車、台数計算式も記載しています。

ビシクレットで取り扱うスライド式自転車ラック(前後入れタイプ)

傾斜ラック

隣り合うラックに高低差をつけてハンドルの干渉を緩和。固定式で安定した収容が可能。

傾斜ラックの3D画像

特徴

  • ラックは固定式、乗り入れ口が広く自転車を持ち上げずに収容可能。
  • 自転車ラック本体の高低差でハンドルの干渉を緩和。

このような
駐輪場に

  • 高さを確保できない中、スライドタイプ以外で収容効率を上げたい。

傾斜ラックの使い方

①収容する場所の両隣にある自転車を左右に倒し、収容するスペースを確保します。
②レールに沿って、自転車を押し入れます。
※片手はハンドル、片手はサドルを持ち、サドルの方の手で自転車を押し込むのがポイントです。

傾斜ラックの駐輪場寸法と平面図

傾斜ラックの駐輪場平面図。通路幅や設置間隔などの駐輪場寸法を記載。

設置間隔:300mm以上
通路幅:自転車後端から1300mm以上


また、製品毎に製品本体の寸法は異なり、設置角度によって通路幅などの各寸法も変わってきます。

製品ページにて、設置角度別の駐輪場寸法一覧の確認と図面ダウンロードが可能ですので、駐輪場設計にお役立てください。その他、価格や対応自転車、台数計算式も記載しています。

ビシクレットで取り扱う傾斜ラック

平置きラック

前輪のみをラックに収容するシンプルな自転車ラック

BC-40の3D画像

特徴

  • 前輪のみを収容するシンプルな自転車ラック。
  • 隣り合うラックに高低差をつけてハンドルの干渉を緩和。
  • ラック間隔の変更、斜め設置、単分での設置など自在に設計可能。

このような
駐輪場に

  • コストを抑えて自転車ラックを導入したい。
  • 風で自転車が倒れないようにしたい。

平置きラックの使い方

Lowタイプ:前輪をラックにのせて収容。
Highタイプ:前輪を持ち上げてラックに収容(レールがある場合は、レールに沿って収容)

平置きラックの駐輪場寸法と平面図

平置きラックの駐輪場平面図。通路幅や設置間隔などの駐輪場寸法を記載。

製品によって製品本体の寸法や通路幅は異なり、ラックの設置角度によって各寸法も変わってきます。

各製品ページにて、設置角度別の駐輪場寸法一覧の確認と図面ダウンロードが可能ですので、駐輪場設計にお役立てください。その他、価格や対応自転車、台数計算式も記載しています。

ビシクレットで取り扱う平置きラック

平置きラックの課題解決事例


課金式の駐輪場システム

課金式の駐輪場システム

駅前の公共駐輪場や商業施設などでは課金式の有料駐輪場(駐輪場システム)を導入する場合もあります。

システムは大きく分けて2種類。一つ目は、各駐輪機にロック機能がついて精算機で代金を支払う個別ロック式。二つ目は、出入口にゲートを配置したゲート式です。

駐輪場システムについては、弊社営業担当が物件の特性や駐輪台数などに応じて製品選定のお手伝いを致します。お気軽にご相談下さい。



駐輪場でお悩みの方は、ビシクレットにご相談ください。

ビシクレットの社員。

この記事では、自転車ラック選びに失敗しないために、自転車ラックの種類ごとに特徴や使い方をご紹介しました。


自転車ラックの選定や駐輪場の設計でお困りでしたら、ぜひ私たちにご相談ください。

ビシクレットは、駐輪場実績18000件以上。『快適な駐輪場を全ての人に』をビジョン掲げ、創業から「利用者目線の駐輪場」にこだわり続けています。
現地調査、駐輪場図面の作成、お見積りは無料です。お気軽にご連絡ください。

この記事の監修

株式会社ビシクレット

駐輪場ひとすじ26年、 納品実績18,000件以上の駐輪場専門の会社。
マンション、自治体、商業施設、民間の駐輪場を中心に、設計から販売、設置、運営管理までワンストップで対応。平成29年度駅前放置自転車対策事業に関し東京都より感謝状を受贈。

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